パイロットを目指している方に限らず、年齢に限らず、たまに「大きな飛行機を操縦できるほうが優秀なパイロットである」「エアラインパイロットが一番優秀である」ということを言われたり、パイロットを目指している方の中には「エアラインパイロット以外になりたくない」と思っていたり、「エアラインパイロットへの最短の道」などを質問されたりします。
「パイロット」と言っても、色々なパイロットがいます。「エアラインパイロット」は、ある意味身近であり、「なりたい職業」で上位に来ることが多いですが、「エアラインパイロット」として働いているパイロット以外にも、実はパイロットとして働いている人は大勢います。
パイロットの世界を知らない方、パイロットを目指しているけれども、エアライン以外は考えたこともない方、そんな方に知って欲しい、エアラインパイロット以外のパイロットの仕事とはいったい何があるのでしょうか?
【海外でパイロット】パイロットの優秀さとはいったい何?
「大きな飛行機を操縦できるほうが優秀なパイロットである」と思われている方が一定数いますが、「優秀」とは一体どういうことなのでしょうか?
人間、色々と得意不得意はありますし、パイロットの中でも、とんでもなく自頭のいい人はいます。とは言え、全員基本的には同じライセンスを取得しているので、「優秀」というところでの差別化は難しいのではないかと思われます。
飛行時間においても、飛行時間が多ければいいわけでもないのではないかと思います。
「経験」という意味においては、飛行時間は重要な要素だと思います。ただ、飛行時間で色々と判断してしまうのは良くないようにも思っています。
パイロットの仕事は飛行機を飛ばすだけではありませんし、エアラインのパイロットであれば、全体のマネージメント能力が大事なのではないかと思われます。
パイロットとして優秀だから大きな飛行機に乗れるわけではありませんが、大きな飛行機を運航する会社に入社できるパイロットは、試験に落ちてしまったパイロットよりも「会社側」が優秀であると判断したのかもしれません。
とは言え、エアラインパイロットが必ずビジネスジェットの運航会社に採用されるかというと、そうでもないのがこの世界。
あまり飛行機の大きさでの「差」は気にしなくてもいい点だと、ビジネスジェットのパイロットは思います(笑)
【海外でパイロット】ビジネスジェットのパイロットはエアラインパイロットよりも劣っている?
「ビジネスジェットで仕事をしている」というと、「エアラインでは働けない残念なパイロット」というような言われ方をした経験があります。
ビジネスジェットのパイロットは、大抵の場合、エアラインパイロットの人たちが飛ばしている飛行機よりも小さいものを飛ばしているのが原因なのかもしれません。実際、エアラインを大抵は最初に受けたり、入ろうとしたりします。ただ、全員が受かるわけではありません。
だからと言って、パイロットとして劣っているかどうかは、また別なことかと思います。
【海外でパイロット】エアラインパイロットはビジネスジェットを操縦できない‼
仕事を得るまでの段階で取得しないといけないパイロットライセンスは全員共通です。
その後、どこかの会社に入社して、その会社が保有する機種に特化した勉強を行います。
そのため、入社したところによって、どの飛行機に乗れるのか決まってきます。複数の機種を保有している会社の場合、大抵は会社が指定した機種に乗ることになります。通常、自分で選択することはできません。(希望は言えると思いますが…)
エアラインでボーイング737を飛ばしている場合、入社してからB737の勉強をします。このパイロットは、ほかのターボプロップ機やジェット機を飛ばすことは基本的に出来ません。なぜなら、他の機種に特化した勉強をしていないからです。
(日本では型式証明と言いますね)
エアラインパイロットだからといって、大きな飛行機を操縦できるパイロットだからといって、僕が乗ることのできるセスナ社のサイテーションジェットの操縦は不可能です。
また、ボーイング737の操縦免許を保有しているからと言って、ボーイング787を操縦することはできません。同じ会社が製造した飛行機であろうとも、機種を変更する場合には、それ相応の勉強が必要になってきます。
しかし、この点を知らない人が案外多いのではないでしょうか。
「パイロットなら、あれもこれも簡単に飛ばせるんじゃないの?」と言われたりしますが、車とは違い、機種それぞれでシッカリと学ばないといけません。
そのため、大きいジェット機の操縦が出来るからと言って、小さいジェット機の操縦が出来るわけではありません。
【海外でパイロット】フライト教官がいなければ始まらない
アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど、フライトスクールが多数あり、またエアラインなどが多数あるところでは、「教官の仕事は下積み」というような表現を使ったり「飛行時間を貯めたり経験を積むためにやる職業」と言われたりしています。
働き始めの教官は、あまり稼ぐことのできないポジションであるため、飛行時間が貯まると、航空会社に応募して「ステップアップ」していきます。
そのような仕組みになっているということが調べると分かるため、パイロットを目指す段階の方の中には「飛行教官はエアラインにまだ行けない人」というようなことを思っているかもしれません。
ですが、彼らも立派な「パイロット」です。彼らがいなければ、学ぶことはできません。
「下積み」であったとしても、職を失わないため、出来る限り稼ぐために、知識をシッカリともち、生徒のことを考え、時間をかけて勉強プランを立てたり、生徒から質問されても答えられるように常に勉強をしています。
エアラインを目指していたけれども、教官になって教えるようになり、教官という職を自分の天職としているパイロットも多数います。
フライト教官も「プロパイロット」です。
【海外でパイロット】航空施設チェックのために飛行機を飛ばすパイロット
僕自身、この業界はパイロットになるまで全く考えたこともありませんでした。
訓練をしているときに「VOR」や「NDB」などという、地上にある電波を発するものを用いて、自分の位置を確認したり、それらを目標にして飛んだり、空港では「ILS」というものを使用して、視界の悪い中でも、空港の滑走路に安全に高度を落としながら近づくことができるようなモノが存在します。
これらの施設は、定期点検が必要になってきます。
日本では分かりませんが、ヨーロッパでは民間の会社が、このような施設が、正常に、正確に電波を発しているのかを検査しています。
プロペラ機である場合が多く、専用の機材と専門の人材を飛行機に乗せて、空港や、地上にある施設の周りや近くをグルグル回ったりしながら、正常に作動しているのかを一つ一つ確認していきます。
彼らの仕事がなければ、エアラインパイロットやビジネスジェットパイロット、パイロット訓練生など全員が困ってしまいます。
【海外でパイロット】お医者さんや学校の先生と同じようなもの
お医者さんは、医師免許を皆持っていますね。ですが、その後、自分の勉強したい専門分野などに分かれていきます。別な分野のことは、ある程度は理解しているかもしれませんが、深く知っているわけではありません。
「専門医」になる場合は「専門医資格」というものがあったりします。
脳専門の外科医も精神科の精神科医も、同じ「医者」ですが、専門分野が違います。
学校の先生の場合、「教員免許」は全員持っていますね。ですが、国語の先生は英語の先生には簡単にはなれません。自分の専門分野ではないからです。
パイロットも同じように「パイロットライセンス」は全員持っています。ですが、その後、枝分かれしていきます。
B737に乗る人もいれば、ガルフストリーム650に乗る人もいますし、フライト教官になる人もいれば、小型単発ターボプロップ機でお客さんを乗せて飛び回るパイロットもいます。
全員「パイロット」です。飛行機の大きさによる「優越はない」と僕自身は思っています。
【海外でパイロット】エアラインパイロット以外のパイロット まとめ
パイロットを目指す人の中には「兎に角大きな飛行機を操縦したい」と思っている方もいると思います。僕も以前はそのように思っていました。
パイロットの中にも「エアラインが絶対にイイ」と思っていたり「大きな飛行機に乗りたい」と思っている方もいますが、だからと言って「大きな飛行機のパイロットが優秀である」や「エアラインパイロットが優秀である」というようなことは、恐らく言わないのではないでしょうか。
乗りたい飛行機の大きさや、所属する会社は個人の自由なので、どのような考えでも構わないと思います。ただ、そこに「優越」があるかというと、大抵のパイロットは「関係ない」と答えるのではないかと考えます。
パイロットライセンスを取得して大きな飛行機に乗ったり、エアラインに行くことを目標としている方は多いことと思いますが、ビジネスジェットのパイロットもパイロットです。フライト教官もパイロットです。こだわり過ぎず、そのときの状況によって、パイロットとして働くことができる道を選ぶのもいいのではないかと思います。
パイロットライセンス取得後、エアラインに入れないからと言って、パイロットの道が閉ざされたわけではありません。
パイロットとして働きたい場合は、上記した以外にもパイロットの免許が必要になる仕事があります。あまり1つの種類にこだわらず、周りを見てみてください‼
コメント