海外でパイロットライセンス取得を目指すときに、考えないといけないのが「フライトスクールをどこにするか?」という問題。
大金をかけるわけですし、簡単に変更するのも難しいため、変なフライトスクールを選んでしまうと、とても大変な思いをすることになってしまいます。
最悪、パイロットライセンスを取得できなくなることも考えられます。
フライトスクール個別の評価はしていませんが、フライトスクールを選ぶ上で考えてほしいところを記事にしてみました。
- 【海外でパイロット】取得したいライセンスを取得できるところかどうか
- 【海外でパイロット】座学とフライト訓練が同時進行かどうか
- 【海外でパイロット】パイロットライセンス取得までの期間はどのぐらい?
- 【海外でパイロット】座学やフライト過程での使用言語は英語?現地語?
- 【海外でパイロット】フライトスクールの場所はどこがいい?
- 【海外でパイロット】飛行機の機種は気にする必要ある?
- 【海外でパイロット】シミュレーターの種類は気にする必要ある?
- 【海外でパイロット】パイロットライセンス取得にかかる費用
- 【海外でパイロット】訓練費に含まれていない費用
- 【海外でパイロット】Info dayに参加しましょう
- 【海外でパイロット】フライトスクールは営利会社である
- 【海外でパイロット】フライトスクールの選び方・期間・費用 まとめ
【海外でパイロット】取得したいライセンスを取得できるところかどうか
まずは、自分が取得したいパイロットライセンスがどのようなものなのかをシッカリと決めましょう。
ヨーロッパではパイロットライセンスにも種類があり、また、最終的に保有したいライセンスにより、フライトスクールが分かれます。(恐らく、各国同じようなものだと思います)
将来の目標を「エアラインパイロット」としてみましょう。
必ず必要になるものは「ME CPL IR, MCC/fATPL Theory Credit」
詳しい解説は、こちらの記事を読んでください。
フライトスクールは多々ありますが、「PPLのみ」のフライトスクールも多く存在します。
「fATPLまで取れますよ」と書いてあっても、シッカリ読むと、「PPLのあとは別なフライトスクールで勉強します」などと書かれているところもあるので、HPの内容をシッカリと読みましょう。
「ATPL」を最終的に取得するためには、ATPLの座学を受けないといけません。
ATPLの座学をするためには、相当の座学教官が必要になってきますし、フライトスクール側は航空局から認可を取得しないといけません。
途中でフライトスクールを変更する必要なく、ATPL座学を最初から最後まで勉強できるところを選びましょう。
【海外でパイロット】座学とフライト訓練が同時進行かどうか
フライトスクールによっては、座学を最初に全部行うところと、座学を行いながらフライト訓練を同時進行するところと別れます。
僕の通っていたフライトスクールは、座学とフライト訓練を完全に分けていました。
最初に座学を全部終え、筆記試験に全教科パスしてから、フライト過程へと進みました。
同時進行の場合だと、座学をしつつフライトの復習や予習もしないといけなくなってきます。座学は相当な量を勉強することになるので同時進行だと大変になってくることもあると思いますが、座学だけでは煮詰まり、フライトをすることによって少し気分を変えることもできたりします。
どちらも一長一短。
僕自身は、座学とフライト過程が分かれていたのは良かったと思います。座学は覚えることが多いですが、試験前は2ヵ月ぐらい毎日復習をしてから問題集を解いたりして、フライトのことを考えたりする時間は全然なかったことを覚えています。
座学の時には時間がありませんでしたが、試験に合格してからフライト過程の最中は少し時間に余裕ができ、バイトをしながらフライト過程を進めることができたのは、僕としてはとても良かったです。
どちらがいいのかは個人の考えです。フライトスクールにより、やり方が違うので、その点も考えておくといいでしょう。
【海外でパイロット】パイロットライセンス取得までの期間はどのぐらい?
滞在期間中、パイロットライセンス取得のみを考えているのであれば、約2年近くの見積もりが必要かと思います。
フライトスクールによっては、「最短14ヵ月」と記載されているところが見受けられます。
あくまでも「最短」です。「絶対に14ヶ月で終わる」というわけではありません。
ATPL座学は6ヶ月程度かかり、その後試験を受けるまでは自習。試験合格後にフライト過程に移るところと、座学とフライト過程を同時進行するところに分かれます。
フライトスクールによりますが、飛行機を自分の好きなときに好きなだけ使えるわけではなく、他の生徒との時間調整などがあったり、飛行機のメンテナンスが突如必要になるときもありますし、天候で期間が延びることもあります。
「最短期間」のところを意識せず、「おおよそ2年近くかかる」と考えておくといいと思います。
【海外でパイロット】座学やフライト過程での使用言語は英語?現地語?
外国からの学生を歓迎しているところは、英語で行っています。
スペインやチェコ、ギリシャ、スウェーデン、ノルウェー、ベルギーなどに大きなフライトスクールがありますが、英語ですべての授業を行っているところが多いです。
イギリスも当然ですが英語ですね。
僕の通っていたフライトスクールはドイツにあります。
座学、フライト過程はドイツ語でした。
ドイツのフライトスクールでも、英語で全面的に授業を行うところもあります。
英語以外のヨーロッパの言語に不安があるのであれば、英語を使用するフライトスクールがあるので、そちらを探してみてください。
英語でフライトスクールの説明が書いてあるところは、基本的に英語で授業を行っているところが多いです。
僕の通っていたフライトスクールは、HPには英語の説明がないので、読めない限りコンタクトすらできないようになっています。
座学の試験は、英語かドイツ語かを選べるようになっていました。僕は座学の試験は英語で行いました。英語のほうが読むのが早く、理解も早いので。
ご自身の言語能力と照らし合わせて、現地語で行うのか、英語で行うのかを決めてください。
【海外でパイロット】フライトスクールの場所はどこがいい?
上記したように、天候に左右されるフライト過程。どこのフライトスクールがいいのでしょうか。
ヨーロッパでは、一般的に南のほうが天気は安定していると思います。
スペインやギリシャなどは、1年を通して晴れの日が多く、冬の期間でも問題なく飛べる日が多いと思われます。
スペインのほうが晴れている日が多い、と言われていても、あなたが行った年だけ雨が異常に多くなるかもしれません。
北の方でも常に天気が悪いわけではありません。
「絶対にここがいい」というのはないので、無理に場所にこだわる必要はあまりなく、生活費などのことも考えて「自分に合ったところ」がストレスなく過ごせるかと思います。
アメリカでEASAライセンス取得が可能
フライトスクールによっては、座学はヨーロッパで行うけれども、フライト過程のみアメリカで行うようなフライトスクールもあります。
また、アメリカ国内にもEASAの免許を取得できるフライトスクールがいくつか存在します。
費用や言語、天候の面から、最初からアメリカのフライトスクールでEASA免許取得を考える方もいるかと思います。
既に住んでいない限り、わざわざ日本からヨーロッパに来る必要もないわけです。
費用が許すのであれば、FAAとEASAを同時取得も可能になってきます。
【海外でパイロット】飛行機の機種は気にする必要ある?
フライトスクールによっては「最新の機種が揃っています‼」とキャンペーンをしているところもありますが、飛行機の機種は気にする必要があるのでしょうか?
そこまで気にする必要はないと思います。ただ、飛行機の数は少し気にしたほうがいいかもしれません。
15人で座学をしていて、同じ時期にフライト訓練を始めるようなところで、飛行機が1機や2機だと少し不安かもしれません。
メンテナンスになったり、1人が1日かけて別な空港へ行くクロスカントリーに出てしまったら、ほかの生徒はフライト訓練が出来なくなってしまうこともあります。
「〇機あればいい」とハッキリ言えませんが、1クラスの人数の3分の1ぐらいの機体数があると、飛行機の取り合いにならないのではないかなぁ、と考えています。(単発機)
双発機は、費用もかさむためか、何機も持っていない場合が多いです。
僕が通っていたフライトスクールでは、生徒9人に対して、単発機は4機、双発機は2機ありました。
僕の場合は、バイトをしたかったので、毎日飛ぶ必要はなく、問題はほとんどありませんでした。
「単発機でもグラスコックピットを装備‼」というところもありますが、グラスコックピットに拘らなくてもいいと思います。アナログ計器のビジネス機も未だに飛んでいるので、単発機ではアナログ計器、双発機ではグラスコックピットでの訓練でもいいのではないかと考えますが、個人の自由なので、お好きなほうを選ぶといいと思います。
単発機の場合、羽の位置が上なのか下なのか、2種類あります。
景色を楽しみながらクロスカントリーができたりするのは、羽が上についている機種で僕自身は楽しみました。
【海外でパイロット】シミュレーターの種類は気にする必要ある?
フライトスクールでは、大抵シミュレーターを完備しています。
計器飛行証明のときに地上で練習をしたり、MCCトレーニングで必要になってきます。
フライトスクールで使用しているシミュレーターの種類を気にする必要はあるのでしょうか?
なぜなら、フライトスクールによっては「うちにはB737のシミュレーターがあるよ‼」という宣伝をしているところが多いからです。
パイロットを目指す立場としては、将来乗るかもしれない機種、普段乗客として乗っている機種、ジェット機である、というような理由で、憧れるかもしれません。
ですが、費用を考えると、わざわざB737を使用する必要性は無いのではないかと思います。
MCCではB737の飛び方を教わるわけではなく、「2人乗務での飛び方」を学ぶだけなので、ジェット機である必要はありません。費用の高いB737ではなく、ターボプロップでありB737よりも安く抑えられる「King Air」のシミュレーターのほうがいいのではないかと思います。
僕自身は「King Air」のシムを使用しました。
ただ、JOC(Jet Orientation Course)を受けたい人には、学校に既にジェット機のシムがあるほうが、学校を変更することなく、JOCまで終えることができるので、そのような場合には、B737のシムを保有するような学校がいいかもしれません。
【海外でパイロット】パイロットライセンス取得にかかる費用
とても大きな問題ですし、興味のある所ではないでしょうか。
フライトスクールにより、かかる費用は大きく変わってきます。どのようなコースを選択するかによっても変わってきます。
既に他国の免許を取得している場合、座学の免除は基本的にはありませんが、既に持っている飛行時間が有効だと判断されれば、フライト過程である程度の飛行時間免除がある場合があります。
アメリカで飛行時間を稼ぐプログラムだと、すべてをヨーロッパで行うよりも、少し安くなったり。
【海外でパイロット】訓練費に含まれていない費用
訓練費として提示される提示額に含まれていない費用もあることを忘れないでください。
メディカル
フライトスクールに入るタイミングだったり、もしくは入学書類などを提出する時点で、大抵の場合は「航空身体検査」を受けなければいけません。(20代、30代の場合、1年に1回必要です)
国により、最初のメディカルは、指定された施設で行う必要があったりします。
値段はそれぞれ違うかと思いますが、5万円前後は考えていたほうがいいかと思われます。
渡航費・滞在費・ビザ取得にかかる費用などは別
各フライトスクールが提示する金額は「訓練費」であり「滞在費」などの費用は別にかかります。
渡航する前に、ビザの費用や航空券なども考えておかないといけない費用ですね。
滞在費に関しては、アパートもしくは寮、食費、移動費、日用品にインターネットやスマホを含む通信費などなど。
この費用だけでも、約2年の滞在期間を考えると、それなりの額になることを考えた上で検討してください。
滞在する場所によっては、とても高いところもあります。
フライトスクールによっては、訓練施設の近くに寮があるところもありますが、訓練費には通常、寮費は含まれないので、シッカリと確認しましょう。
着陸費用、燃料費、試験代は別?
フライトスクールにもよりますが、上記の費用が「訓練費」に含まれていない場合もあるので注意が必要な経費です。
ヨーロッパでは、着陸ごとに費用が掛かります。
離着陸訓練では、空港の周りをグルグル回りながら、離着陸の練習をすることがありますが、タイヤが滑走路に設置したら料金がかかるところが多いです。
夜にフライトをしないといけない時もありますが、夜空港を開けない空港では、別料金を支払って開けてもらうところもあります。
フライトスクールがある空港では、上記の経費も訓練費に入れてあったり、空港がフライトスクールと同意し、夜でも使えるようになっていたりします。
燃料費が別料金のところもあるので、要注意です。飛行機を借りる費用が「訓練費」に含まれていても、燃料費が別料金に設定してあるところだと、毎回燃料費の支払いをしないといけません。かなり高額になります。
試験費用が別料金として設定しているところもあります。
また、試験費用が含まれていても、1回目のみが含まれていて、最初の試験で落ちてしまい、数日後にまた試験をするときの費用が別料金になったりもします。
フライトスクールによっては、施設使用料を一定額徴収するところもあります。
どの費用が既に組み込まれているのかの確認をしておいたほうが、後々問題にならないのではないかと思います。
ヘッドセットは自分で購入
飛行機に乗るときに必ず必要になるヘッドセット。自費で購入が通常だと思います。
ヘッドセットは1000€するものもありますが、300€の物も。
性能により価格の差が大きく違います。
高いから良い物、というわけでもないので、装着した時の感触なども大事になってきます。
パイロットとして働き始めてからも使用できるものなので、シッカリと考えてから購入してください。
僕は「David Clark」のヘッドセットを訓練初期に購入して20年近くたちますが、プロペラ機に乗るときには未だに使用しています。
フライト訓練で必要な地図代
フライトスクールにもよりますが、フライト訓練では「チャート(空の地図)」が必ず必要になります。
フライトスクールが訓練に必要な空域のチャートを用意してくれるところもありますが、自分で購入するところもあります。
そこまで高いものではないかもしれませんが、常に最新のチャートを持っていないといけないので、更新されるたびに購入しないといけません。
今はフライトスクールに生徒用のチャートが入ったタブレットが用意されていたり、グラスコックピットにチャートを表示出来たりできるようになっているので、必要ない場合があるかもしれません。
フライトスクールに確認してください。
フライト時間が増えることもある
パイロットライセンスを取得するまで、約250時間程度のフライト(シム含む)をすることになります。
「訓練費」の中には、最低限必要なフライト時間で訓練が終わることを想定された金額が提示されていたりします。
大抵の場合、少しオーバーするのではないかと思います。
毎回キッチリ決められたフライト時間で終了するわけではないので、オーバーした場合、追加料金が発生することがあります。
「235時間~265時間の範囲内であれば払い戻しや追加料金なし」というような設定をしているところもあるかもしれません。
どのような費用設定をしているのか確認しておきましょう。
また、試験に落ちてしまった場合、数時間の追加訓練が必ず必要になってくると思います。そのような費用も上記したようにフライトスクールによっては追加料金が必要になるので、確認が必要です。そうならないためにも、出来るだけ1回で合格できるようにしておきましょう。
【海外でパイロット】Info dayに参加しましょう
日本にいながら、ヨーロッパやアメリカ、その他の国のフライトスクールを探すのはとても大変だと思いますが、滞在する国の雰囲気を見るためにも、費用が許すのであれば、一度渡航してみることをおススメします。
また、ヨーロッパのフライトスクールでは大抵「Info day」というのを設定しています。
パイロットライセンス取得を目指す生徒やその家族が、フライトスクールの説明を受けたり、質問をしたりすることができる日です。
個別にメールや電話対応だと、とてもさばききれないからか、近年では1ヵ月に1回や数ヵ月に1回の「Info day」を設けているところが多いです。
【海外でパイロット】フライトスクールは営利会社である
忘れてはいけない部分として、「フライトスクールは営利目的の会社である」ということです。
生徒が来ないフライトスクールは倒産します。なぜなら、資金がなくなるからです。
資金がどこから来るのかと言えば、生徒が支払う訓練費です。
「就職先実績」というのが大抵のフライトスクールで宣伝されていますが、予備校の合格実績と同じようなものですね。
その予備校に通っていたから「合格した‼」と勘違いしてしまったり、そう思わせるような宣伝方法ですが、実際に試験を受けるのは生徒です。
フライトスクールでも、同じことが言えます。
「実績」があるからと言って、「就活に有利」とも言えません。
エアラインと共同で訓練プログラムを作っているところもあります。そのようなところでは、ある程度、優先的に履歴書を見てもらえるかもしれませんが、「就職できる」というわけでもありません。
エアラインの「Cadet Program」も稀に存在します。このようなプログラムは、プログラムを支援しているエアラインへの就職を目的としてのコースとなるため、入学前のセレクションで決まります。
少なくなってきましたが、たまにこのようなプログラムがあったりします。「自社養成」ではない場合が多いため、基本的に訓練費などは自費であることが多いです。
ですが、経済状況によっては、就職できないこともあります。訓練をしている2年間で大きく変わってきますからね。
色々な宣伝文句がフライトスクールでは繰り出されますが、そのフライトスクールに通ったからといって「就職に有利」とはあまり考えないで、自分に合うフライトスクールを選んでほしいと思います。
【海外でパイロット】フライトスクールの選び方・期間・費用 まとめ
数あるフライトスクールの中から、自分に合った1つを選ぶのは、とても大変な作業ですが、ここで躓くと後悔してしまうことになります。
ヨーロッパであろうと、アメリカやカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、東南アジア、どこへ行くことになっても、フライトスクール選びは必要になってきます。
フライトスクールを選ぶまでに、費用と時間がかかるかもしれませんが、シッカリと自分に合ったところを見極めてください。下調べはとても重要です‼
気持ちが前に行っているのは分かりますが、一旦冷静になり、必要なことを聞き出して、出来る限り書面回答をしてもらうようにしましょう。
契約書をシッカリ読んで、もしかしたら隠れているかもしれない費用を見つけたら、納得のいくまで聞いてください。嫌がられる可能性もあります。ですが、あなたが納得して訓練費の支払いをし、パイロットライセンス取得に向けて勉強ができると思えるフライトスクールでなければ、契約しないほうがいいです。
必ずどの費用が訓練費に含まれていて、どの費用が訓練費に含まれていないのかシッカリと確認してください。
シッカリと把握していないと、訓練費に含まれていない費用がかさみすぎて、訓練を途中で断念してしまうことも考えられます。
学校の提示する「訓練費」は「訓練のみの金額」です。生活をしないといけないことや、ほかに必ず必要だけれども、訓練費に含まれていない費用のことを考えて、準備をしてください。
自分に合ったフライトスクールを見つけて、有意義な訓練生活を送って欲しいと思います。
コメント