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【海外でパイロット】タイプレーティングがないと就職できない?

do-i-need-typerating 質問に答えます
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フライトスクールでパイロットとして働くための最低限のライセンスを取得したあとに訪れる「就職活動」

その時によく目にするのが「ONLY TYPE RATED CAN APPLY」などという一文。

これはどのような意味を持つのでしょうか。また、フライトスクールを出たばかりのパイロットに就職の道はないのでしょうか。

これからフライトスクールに通うことを考えている方からすると、フライトスクールの先に何が待っているのか不安だと思いますし、フライトスクールに通っている方は既に募集要項などをチェックしているかと思います。上の一文には泣かされてしまいますよね。分かります。

僕の中でのイメージですが、日本では会社側が負担してくれているように思います。ヨーロッパでは、会社側が全額負担してくれるようなところなのか体験談をもとに解説!

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【海外でパイロット】タイプレーティングとは一体何?

タイプレーティング」、日本では「型式証明」と言われるものがあります。

パイロットとして働くためにフライトスクールに通い、必要最低限のライセンスを取得したパイロットは、まだ「タイプレーティング」というものを持っていません。

例えば、アメリカのボーイング社が製造するB737という機体。

パイロットライセンスに「B737操縦資格」が記載されていない限り、パイロットの免許を保有していても、B737の操縦は許可されていません。

ターボプロップ機やジェット機では、それぞれの飛行機でタイプレーティングが必要になります。

B737のタイプレーティングを保有しているパイロットは、エアバス社のA320のタイプレーティングを保有していないので、A320を操縦することはできません。

機種ごとにコックピット内のレイアウトに違いがあったり、表示される情報に違いがあったりと、さまざまな種類があります。

それらの違いを勉強し、その機種専門の操縦資格を取得し、得られるのが「タイプレーティング」です。

【海外でパイロット】タイプレーティング取得までフライトスクールで勉強する

フライトスクールによっては、タイプレーティング取得までをパッケージとして販売しているところがあります。

今後のことを考えて、「B737を保有する会社にどうしても入りたい」や「A320にしか興味がない」というのであれば、タイプレーティングまでの取得をフライトスクールですることも可能ですが、どこまでそのタイプレーティングに価値があるのかは、シッカリと考えてから決めてください。

タイプレーティングを保有しているだけでは意味がない

考えないといけない部分として、「例えタイプレーティングを保有していたとしても、アドバンテージになるかどうかには疑問がある」というところです。

B737のタイプレーティングを保有していたとしても、実際に運航に関わったわけではありません。

B737の操縦実績がない、というのがネックになってきます。

タイプレーティングを既に保有している人のみを募集しているところが多々ありますが、そのようなところでは、大抵の場合「500h on Type」というようなことが書かれています。

意味としては、「この機種での500時間の操縦実績」と言ったところでしょうか。

簡単に言えば「タイプレーティング保有だけでは意味ないよ」ということです。

タイプレーティングの取得には、それ相応の時間と費用がかかります。タイプレーティング保有だけで有利になる会社もありますが、多くの会社では「操縦実績」も必要となってくることを考えておいてください。

【海外でパイロット】タイプレーティング取得までの期間

ターボプロップ機やジェット機の操縦資格である「タイプレーティング」

期間はどのぐらいかかるのでしょうか?

機種にもよりますが、3週間~2ヵ月程度かかります。

旅客機の部類だと、2ヵ月は考えておきましょう。

ビジネスジェットだと少し短めにトレーニングは終わることが多いです。

最初は座学です。この期間に、機種に関することを詰め込みます。今まで飛んできた機種よりも複雑になっていて最初は戸惑うことがあるかもしれません。ホントに多いので。

座学が修了したら、筆記試験を受けて、合格したらシム過程に移ります。

最初はスイッチの位置や、計器の使い方を学び、その後は常に何かしら問題がある状態で訓練をしていき、どのような状況になっても対処できるようにします。

最後は2時間PF(Pilot Flying=操縦担当)として試験、2時間PNF(Pilot non Flying=PFをモニターする人)として試験を受けて、タイプレーティングの交付が行われます。

【海外でパイロット】タイプレーティング取得にかかる費用

タイプレーティング取得にかかる費用は、機種によっても異なります。

(それにしても、パイロットになるには本当にお金がかかりますね。それでも飛びたいのだから仕方がない…)

世界中で飛ばされている機種もあれば、ビジネスジェット機などは、そんなに数が出回っていなかったり。

レアな機種になれば、その分、高めに値段設定されていたりします。
(単純明快な需要と供給ですね)

大まかですが、旅客機のタイプレーティング取得費用は15000€程でしょうか。
(FAAだと半額で取得出来たり、3分の1程度のところもありますが、EASAベースだと高いです)

B737やA320は世界中にシミュレーターがあり、それぞれのスクールでお客さんであるパイロットを集めるために、ビジネスジェット機よりも安めな費用に設定されているところが多く見受けられます。

ビジネスジェット機になると、機種によっては、世界中で2ヵ所や3ヵ所でしかトレーニングができない場合があり、そのような機種だと高めに設定されています。

セスナ社のサイテーションジェットは、それなりの数のシミュレーターがあるためか、2万ユーロ程度に設定されているところが多いです。それでも、旅客機と比べると高いです。

ガルフストリーム社のG550やG650のような、大型ビジネスジェット機のタイプレーティングは4万~5万ユーロという、とても高額な費用がかかります。(EASAベース)

最新の機種になると、もっと高く設定されていて、数年かけて少しずつ値段が安くなりますが、それでも高いことに変わりはありません。

【海外でパイロット】個人でタイプレーティング購入できる?

基本的には、会社側が負担することの多い「タイプレーティング」ですが、個人で購入することも可能です。

タイプレーティングの訓練を行っている施設に問い合わせると、回答してくれることでしょう。

個人でかかる費用と、法人でかかる費用とでは、どのぐらいの差があるのかは分かりません。恐らくですが、少し高めになっているようには思います。

【海外でパイロット】タイプレーティングは失効する

EASAの免許には期限が設定されています。FAAとはまた違う法律です。

タイプレーティングを取得してからは、毎年更新するためにトレーニングを受けないといけません。トレーニングをせずに、数年ほったらかしにしてしまうと、失効してしまい、もう一度1からタイプレーティングのトレーニングを受けないといけなくなります。

操縦実績や、失効年数によりトレーニングの内容や期間に差は出ます。

そのため、個人でタイプレーティングを購入したけれども、別機種に乗ることになった場合、更新し続けない限り、せっかく投資したものを失うことを考えないといけません。

更新にかかる費用は、タイプレーティングによって異なりますが、それ相応の費用は毎年かかることも考えておかないといけません。

【海外でパイロット】タイプレーティングがなくても就職できる

本題です

タイプレーティングがないパイロットである、フライトスクールでの訓練を終えたばかりのパイロットが就職できるのでしょうか?

チャンスはある

ということは言えます。

実際に、僕もタイプレーティングを保有していない状態でしたが、就職できました。

但し、タイプレーティング費用を負担してくれる会社は少ない、という現状は変わりません。

エアラインであったとしても、タイプレーティングの費用を負担するためには、現金を会社から出さないといけません。それを極力避けるためにも、タイプレーティング保持者のみを雇いたいと思う会社が9割です。

大きな会社になると、タイプレーティング費用を負担してくれたりしますが、そのようなところに就職するパイロットは、既に別な機種で数千時間の飛行時間があったりします。

フライトスクールを終えたばかりのパイロットには太刀打ちできないような人たちですね。

とは言え、全くチャンスがないわけではありません。

会社ごとに条件は異なりますが、以下に分かれます。

  1. 会社とパイロットで折半。全額負担ではありませんが、それ相応の現金が必要
  2. 「トレーニングボンド」と言って、会社側が費用を負担する代わりに、一定年数はその会社から出ない、という条件
  3. 給料から一定額ずつ2年から3年かけて天引き

僕が働いてきた会社は「2」でした。「3」を行っている会社もありますが、そのような会社とは今まで縁がありませんでした。

「タイプレーティング費用をあなたが負担するなら入れてあげるよ」という会社はあります。実際に数社から言われていますが、すべて断りました。

例え、タイプレーティングの費用を用意でき、就職できたとしても、試用期間が大抵の場合は必ずあります。国によって違いますが、試用期間が終わると同時に、会社を出されることも考えられます。そのようなことをしない会社もあるかもしれませんが、実際のところは、入ってみないと分からないため、リスクが大きすぎると考える人もいることでしょう。

また、機種によっては、その会社以外では数社しか選択肢がない場合もあり、やはりリスクを考えると、タイプレーティング費用自己負担は難しくなってくるのではないでしょうか。

【海外でパイロット】タイプレーティングがないと就職できない? まとめ

フライトスクールでパイロットライセンス取得後、就職活動を始めると「タイプレーティング」という壁が待っています。

お金をもっと払ってでも、タイプレーティングを取得したいのであれば、それはそれで個人の考えなのでいいと思います。

とは言え、取得したタイプレーティングの機種を運航する会社以外には、あなたのタイプレーティングは特に魅力的ではありません。

どのようにするのかは、個人で考えないといけませんが、タイプレーティングがなくても就職が可能かどうかで言えば「可能」です。

色々な会社の最低応募要項をみると、ショックを受けるかもしれません。

僕自身、何度もタイプレーティングの壁にぶつかりました。何度「兎に角お金で解決してしまおう」と思ったか。ですが、現金を用意しないといけません。そんな現金はもうありません。生活のために仕事をしている状態で余裕はなかったです。

試験や面接に呼ばれた時のことを考えて、貯金も必要でした。

ローンを組むことが可能だとしても返済しないといけません。色々考慮して、僕の中から「タイプレーティングを購入する」というオプションは排除されました。

通常、フライトスクールを修了して仕事をしていない人がローンを組むことは難しですし、仕事をしていたとしても、タイプレーティングを取得するためには、必ず2ヵ月程度は時間が必要です。大抵の場合は、仕事を辞めるか、有給休暇1年分近くが必要です。
自費でタイプレーティングを取得したとしても、エアラインに限らず、ビジネスジェットの世界でも、就職の保証はないのが現実。

時間はかかるかもしれませんが、色々な機種が飛んでいる空。

フライトスクールを修了した後、今すぐにでもパイロットとして働きたい気持ちも分かります。僕もそうでした。パイロットとは違う仕事をしたくない気持ちにもなることでしょう。

とは言え、今までの訓練費に加えて、タイプレーティングの費用がすぐに出せない人も多いことでしょう。僕がそうでした。

僕の場合は2年近くかかりましたが、パイロットとして、タイプレーティングの自己負担をする必要のないところに就職することができました。

時間はかかってしまうかもしれませんが、目標を持ち、耐えられるのであれば、無理に何かしらのタイプレーティングを取得してしまうよりも、まずはタイプレーティングがない状態で就職活動をしてみても悪くはないと思っています。

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