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【海外でパイロット】タイプレーティング取得 サイテーションジェット

cj-initial-training 質問に答えます
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fATPLを始めとする、諸々のライセンスを取得後、就職活動が始まると思います。

僕の場合は、長く険しい道のりでしたが、すぐに就職先を見つける方もいることでしょう。人それぞれですが、就職先が見つかったとしても、まだまだ気は抜けません。

就労契約書に署名をしたとしても、安心はできません。

次のステップは、就職先で飛ばすこととなる飛行機の「タイプレーティングの取得

ここで躓いてしまったら、契約内容によっては「即刻解雇」になることもあるので、就職できたことに喜んだあとは、気を引き締めてタイプレーティングのトレーニングに挑みましょう。

今回は、僕が所有しているタイプレーティングである「セスナ・サイテーションジェット」の取得までの道のりを書いていこうかと思います。

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【海外でパイロット】座学(グラウンドスクール)

最初に行うのは「座学」です。

機種によって期間は変わります。エアラインで使われる種類の機材だと2ヵ月ぐらいかかるようですね。

サイテーションジェットの座学は、5日間行われました。6日目に座学の試験がありました。

小型~中型のビジネスジェットの座学は、大抵の場合10日以内で終わるのではないかと思われます。

トレーニングセンターによって座学で学ぶ順番はマチマチ。

サイテーションジェットの座学は以下のような順序で行われました。

  • 月曜日 9時から6時
    Aircraft General
    Electrical System
    Hydraulic System
    Flight Controls
    Fuel System
  • 火曜日 9時から6時
    Powerplant
    Fire Protection
    Environmental System
    Ice and Rain Protection
  • 水曜日 9時から6時
    Landing Gear, Brakes
    Pressurization
    Oxygen
    Master Warning System
    Lighting
  • 木曜日 9時から7時半
    Avionics
    Flight Planning and Performance
    Mass and Balance
  • 金曜日 9時から6時
    Abnormal/Emergency Procedure
    MEL, SOPs Normal Operation
    Flight Profiles
    Operation Limitation
    Cockpit Familialization

座学はこれで終了。5日間の詰め込み作業。

金曜日は少しリラックスした感じで、今までの復習を一通りと、今後のシミュレータートレーニングで必要になるような内容を勉強した形です。

週末はホテルでシッカリと勉強をして、月曜日に座学試験が行われました。

以前、アメリカでG200の座学をしたときには、月曜日から金曜日まで座学をした後に、土曜日に座学試験がありましたが、今回はヨーロッパでのタイプレーティング取得だったためか分かりませんが、基本的に週末は稼働していないので、週末にシッカリと座学試験の勉強をしてから座学試験に臨むこととなりました。

それでも、難しかったですけどね…

【海外でパイロット】シミュレータートレーニング

座学試験を突破出来たら、次はシミュレータートレーニングです。

アメリカでのトレーニングでは、朝早い時間から夜中までシミュレーターがほぼ24時間稼働していて、夜12時にブリーフィング開始、夜中1時から4時間のトレーニングもありましたが、今回はそのようなことはなく、朝早くても7時半ブリーフィング開始だったり、夜のトレーニングでも9時半には終わるようなスケジュールで、身体にはとてもいいスケジュール。

座学試験の後は、昼食の後に自習時間があり、紙レーターと言われる、コックピットの写真が貼ってある壁の前に座って、スイッチの位置を覚えたり、覚えなければいけない手順を勉強したりして過ごしていました。

火曜日からはシミュレータートレーニングの開始。

シミュレータートレーニングは8回行われました。この8回で「試験に合格するレベル」に達しないと判断された場合には、インストラクターにより「追加訓練」が課されることになります。費用を負担している会社側としては、「追加訓練」になるような人材をその後も使い続けるとは考えづらいため、訓練に行く身としては、何としてでも規定回数のみで訓練を終えないといけません。

会社によっては、温情措置もあるかもしれませんが、今のところ僕が働いてきた会社では聞いたことがありません。規定回数で終えられるように、シッカリと準備をして出来る限り学んでいきましょう。

今回行われた8回のシミュレータートレーニングは、このような形で行われました。

シミュレーターセッション1回目

エンジンの掛け方から学んでいきます。それなりの手順がありますからね。

コックピットは、製造会社にもよりますが、流れるように作業ができるような作りになっていることが多いです。その流れをチェックリストを見ながら、一つ一つ行っていきます。

全ての作業を焦らずに確認しながら、離陸まで行います。何事も起こりません。

離陸後、通常のフライトのようにオートパイロットを使用して、オートパイロットの使い方も学んでいきます。

ある程度慣れてきたところで、目の前の計器が真っ黒に。

逆サイドは特に問題がないので、逆サイドの計器情報を自分の計器に反映させるスイッチがあるので、それを操作。

少しすると、画面に何個かの「FAIL」が表示されるので、チェックリストを取り出して、それぞれ対処。

チェックリスト作業がすべて終わると、問題なくフライト出来るようになってから、下降を開始して着陸の準備。

ここでは特に何事も起こらず、通常のILSアプローチを行って着陸をして、通常のエンジンシャットダウン作業を行い、セッション終了。

同じようなことを、パイロットモニタリングとしても行い、1回目のセッションが終了。

シミュレーターセッション2回目

すべてがオフにされている、ダークコックピットの状態からスタート。

途中でいくつかの問題があり、エンジンスタートができないようになっていて、MELを確認する作業を行ったりしていきます。

その後、無事にエンジンスタート。

通常通りに離陸。

離陸後にいくつかの問題が発生して、チェックリストに沿って作業をしていきます。チェックリスト通りに行えば、問題は解決するようになっているので、手順を間違わずに行えば、通常通りのフライトに戻ることができるように設定されていました。

巡航中には、

  • TCAS
  • AP OFF
  • AP FAIL ANNUNCIATION ON PFD
  • AP ROLL MISTRIM
  • MASTER WARNING/CAUTION LIGHT ON FLASHING/STEADY
  • FUEL FLTR BYPASS

順番に問題発生。

オートパイロットが使えない状態になったので、手動で降下開始。

ILSの準備をして、通常のアプローチ~着陸。

その後、ILSを状況を変えながら、何度かアプローチの練習。

景色が見える日中の状態だったり、夜の状態だったり、FDが使えないのでRAW Dataでのアプローチや横風、フラップなしでのアプローチ~着陸。

最後の着陸後は、滑走路上でストップをしてエンジンシャットダウンを通常通り行い、 同じようなことを、パイロットモニタリングとしても行い、2回目のセッションが終了。

シミュレーターセッション3回目

エンジンスタートチェックリストまでは準備されている状態でスタート。

エンジンスタート時にいくつかの問題が発生。ホットスタートやハングスタート、ウェットスタートになり、エンジンスタートできません。

その後、「問題すべて解決」とインストラクターの声が後ろから聞こえて、エンジンが問題なくスタートできました。

離陸では、パイロット1名(パイロットモニタリング)がIncapacitation。離陸のために前に動き出してから、横からコールが聞こえません。異常だと判断し、離陸を中止。

滑走路端っこに戻してもらって、もう一度離陸滑走開始。V1になるまえに、黄色いランプが点灯。離陸中止。

また、滑走路端っこに戻してもらい、離陸滑走開始。V1直前に赤いランプが点灯。離陸中止。

またまた、滑走路端っこに戻してもらい、離陸滑走開始。準備はしていましたが、今回は特に何もなく、通常通りに離陸。

8000フィートぐらいでレベルオフ。

  • STEEP TURNS
  • SLOW FLIGHT
  • POWER ON STALL
  • POWER OFF STALL
  • UNUSUAL ATTITUDE RECOVERIES
  • ACCELERATION AND DECELERATION WITH AND WITHOUT FLAPS/SPEED BRAKES/AUTOPILOT

などのトレーニング。

下降開始。

通常通りにILSアプローチを行い、Go-Around。

Missed Approachにて水平飛行になったところで、片側のエンジン停止。

チェックリストを行い、シングルエンジンでアプローチ。

シングルエンジンで順調にアプローチしていたところで、滑走路上に飛行機が進入してきてしまったので、Single Engine Go-Around。

Missed Approachをして、ビジュアルに切り替えて、シングルエンジンでサクッと着陸して終了。

同じようなことを、パイロットモニタリングとしても行い、3回目のセッションが終了。

シミュレーターセッション4回目

エンジンスタート前のチェックリストからスタート。

エンジンスタート前に行うテストの時点でいくつかの問題が発生。チェックリストで対処したり、MELを確認したり。

エンジンスタートの時にホットスタートになり、エンジンスタート中止。

ホットスタート後のチェックリストをしてから、エンジンスタート。

オイルプレッシャーが高いため、チェックリストを確認して対処。

通常の状態に戻り、滑走路までタクシー。

空港は冬の状況で、気温はマイナス。天気は雪。誘導路は滑るような状態に設定されていました。実際に急ブレーキをかけたりすると滑るような感じになったりも。色々と試すことができるのはいいですね。

離陸は、V1直前にエンジンから出火。滑走路上で停止して対処。

その後、滑走路の端っこまで戻してもらい、離陸。

V1直後にエンジン不具合が発生。離陸継続をし、400ftを過ぎたところで対処開始。1500ft過ぎたところでチェックリストを取り出して対処。

不具合だけで、エンジンリスタートができそうなので、条件を確認。

問題なさそうだったので、エンジンリスタートのチェックリストを行い、リスタート。エンジンリスタートが成功して、通常通りのフライトに。

クルーズにはいったところでいくつかの問題発生。

  • LOW OIL PRESS
  • ENG/WING ANTI-ICE
  • W/S O’HEAT
  • PS HTR
  • AOA HT
  • ELECTRIC ELEVATOR RUNAWAY TRIM

などが発生したので、それぞれチェックリストで対処。

下降は特に問題なし。

今回のアプローチはNon-Precisionを行うことに。アプローチのセットアップをして、エンジン2つで進入。

最後の降下を開始しるときに、エルロンが使えなくなり、エンジンパワーで慎重に対処しながら着陸。

着陸後、ファイナルの地点まで戻されて、エンジン2つで進入開始。途中でエンジンから出火。必要な対処を行い、シングルエンジンでアプローチ継続。ミニマムまで来たところでGo-Around。

軽く上昇したところで、ビジュアルに切り替えるように言われ、天気も良くなり、トラフィックパターンをまわってシングルエンジンで着陸。着陸後、もう一つのエンジンから出火。

滑走路上で停止をして、EMERGENCY EVACUATIONのチェックリストを行い、終了。

同じようなことを、パイロットモニタリングとしても行い、4回目のセッションが終了。

シミュレーターセッション5回目

今回は、短い滑走路で最大離陸重量の設定。

パフォーマンスのチェックなどをブリーフィングルームで行い、シミュレーターへ。

エンジンスタートから問題発生。ホットスタートになり、エンジンスタート中止。

元に戻り、エンジンスタート後、FUEL BOOSTのランプが消えない。エンジンスタートしたら消えるはずなのですが、そのまま。

まだ動き出していないのでMELの確認。その後、通常に戻る。

誘導路に出たら、LO FUEL PRESSが点灯。チェックリストで対処。

W/S FAULTとW/S O’HEATが点灯。チェックリストで対処。

滑走路上ではV1直前にエンジンに問題発生。離陸中止。

滑走路の端っこに戻してもらい、離陸。

V1直後にエンジンに問題発生。離陸継続。シングルエンジンで上昇中にWINDSHEAR WARNING。フルパワー、ノーズアップで対処。

チェックリストでエンジンをもう一度再稼働させる。特に問題なくエンジンが戻る。

FUEL CROSSFEEDが点灯。クロスフィードさせていないのに勝手に点灯してしまったので、チェックリストで対処。

その後、降下開始。

降下中にFUEL FLTR BPが点灯。その後、エンジン両方停止。EMERGENCY RESTART TWO ENGINESを行い、エンジン再始動。

そのままアプローチを行い着陸。

滑走路端っこに移動してもらい、通常通りの離陸。

TERRAIN AWARENESS WARNING SYSTEMを体験するために、意図的に山に向かって飛行。

近づくにつれて、WARNINGが鳴ったりするのを体験。

その後、レーダーベクターでILSアプローチ。途中でエンジンが停止。WINDSHEAR WARNINGの対処をして、シングルエンジンで着陸。

滑走路上で停止して、通常通りにエンジン停止をして終了。

同じようなことを、パイロットモニタリングとしても行い、5回目のセッションが終了。

シミュレーターセッション6回目

滑走路端っこに既に飛行機がエンジン稼働状態でスタンバイ。そこからスタート。

V1直前での着陸中止と、V1直後のエンジン故障で上昇継続~エンジンリスタート。

インストラクターが30000FTまで移動。そこからCABIN PRESSURIZATION CONTROLLER FAILUREになり、与圧システムを手動でコントロールする練習。

通常の状態に戻り、OVERPRESSURIZATIONになり、DUMPをしてEMERGENCY DESCENTを行う。

10000FTまで下降してレベルオフ。飛行機は通常の状態に戻される。

AIR DUCT O’HEATのランプが点灯。チェックリストを確認して対処。

降下開始。

BATT O’TEMPランプが点灯。ボルトメーターを確認するなど、チェックリストで対処。

ランプが消えて、通常に戻る。

アプローチ準備をしているときにエンジン異常。片方のエンジンを停止。再始動は出来ないようなので、シングルエンジンアプローチの準備をして、アプローチ開始。

空港が見えずにGO-AROUND。SINGLE ENGINE GO-AROUNDを行い、NON-PRECISION APPROACHをシングルエンジンで行って着陸し、終了。

同じようなことを、パイロットモニタリングとしても行い、6回目のセッションが終了。

シミュレーターセッション7回目

エンジンスタート直前まではインストラクターが準備済み。

エンジンスタートから行うことに。スタートしたけれども、スターターボタンが点灯したまま。通常であれば消えるはずのライトが点いたまま。チェックリストで対処。

GEN OFFが点灯。チェックリストで対処。通常に戻る。

離陸時には、V1直前で問題発生。離陸中止。滑走路端っこまで戻してもらい、離陸滑走開始。またV1直前で問題発生。離陸中止。

滑走路端っこまで戻してもらい、離陸滑走開始。離陸後にエンジン異常。

安全な高度まで上昇してからチェックリストで対処。エンジン再稼働は不可能。シングルエンジンで飛行することに。

離陸した空港は天気が悪く、閉鎖してしまったため、別な空港に進路変更。

水平飛行をしていると、BATT O’TEMPやLO OIL PRESS, GEN OFFなどのラインプが点灯。それぞれチェックリストで対処。

降下開始したところでLO HYD FLOWのランプが点灯。チェックリストで対処。

アプローチを開始したところで、タイヤが出ない。チェックリストで対処。タイヤ無事に出る。

フラップがアプローチのポジションから動かない。こちらもチェックリストで対処。でも、変わらない。Vappを着陸まで維持することで対処。

着陸後、ブレーキが効かない。ハンドブレーキで対応。滑走路上でエンジン停止を行い終了。

同じようなことを、パイロットモニタリングとしても行い、7回目のセッションが終了。

シミュレーターセッション8回目

最後のシミュレーターセッションになります。

インストラクターとのブリーフィングでは

「既に試験を受ける準備は出来ている。今日はプログラムがあるけれども、自分でやってみたいことをリクエストしてください。プログラムに加えます。」

と言われました。

基本的なプログラムとしては、ダークコックピットからスタートして、通常のチェックリストを行い、エンジン停止やいくつかのランプ点灯、シングルエンジンでのアプローチからゴーアラウンドまでがあるようで、途中で何かやりたいことがあればリクエストしてほしいようでした。

僕からは、一度しか行っていない、ストールやスティープターン、WINDSHEARをリクエストしてみました。試験で行うかは分かりませんが、一度しか行っていないので、やってみたかったわけです。

ダークコックピットからのスタート。サクサクと進みます。

エンジンスタートの時に、ホットスタート。その後通常に戻ります。

V1カットやV1後のエンジン異常。上昇中にWINDSHEAR。シングルエンジンでのWINDSHEARは、あまり上昇せずドキドキしてしまいますね。

安全な高度まで来たところでエンジン再始動。

上昇して水平飛行に入ったところで、リクエストをしていたストールやスティープターンを行うことに。やはり、1度しか行っていなかったので、もう一度、手順と感覚を取り戻せてよかったです。

その後、アプローチの準備をしながら、いくつかのランプが点灯。それぞれチェックリストで対処をすると、通常通りに戻ります。

アプローチのため降下開始。降下しながらも、3回ほど黄色いランプが点灯。それぞれチェックリストで順番に対処。

ファイナルになったところで、エンジン異常。メモリーアイテム後、アプローチ継続。

滑走路が見えずにGO-AROUND。ある程度、上昇したところでチェックリストで対処。

天気が突然よくなり、シングルエンジンでビジュアル。サクッと着陸をして、チェックリストに沿ってエンジン停止をして終了。

同じようなことを、パイロットモニタリングとしても行い、8回目のセッションが終了。

【海外でパイロット】タイプレーティング取得 サイテーションジェット まとめ

いかがだったでしょうか?

「タイプレーティングの取得」はパイロットとして、とても大きな目標であり、パイロットとして仕事をする上では、大抵の場合、必要となります。

大抵の場合は1年に1回のReccurent Trainingがあることかと思います。会社によっては半年に1回あるかもしれません。

fATPLまで取得するのも大変ですし、その後、就職活動をするのも、とても大変です。その後に、やっとタイプレーティング取得へ向けてトレーニングをすることが可能となります。

一番最初のタイプレーティング取得訓練は特別なものになるのではないかと思います。色々と知らないことも多いですし、プロペラ機からジェット機になるときも色々と新たな発見があったり、戸惑うこともあるかもしれません。

ですが、やることは今までの訓練と同じです。

今後、乗ることになるであろう飛行機のマニュアルをシッカリと読み、シミュレータートレーニングでは、焦らずに落ち着いて対処をすれば上手くいくはず。

ここまで辿り着いたのであれば、シッカリと勉強をしてタイプレーティングを取得し、パイロットとして働き始めましょう‼

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