ヨーロッパでパイロットを目指す方に、このブログを見つけてもらう機会が増えてきました。
大抵の場合、既にFAA免許を始めとする、ヨーロッパ以外の地域でパイロット免許を取得されている方たちがほとんどです。
既に免許を保有している方たちは、航空無線のやり方は既にご存じですが、ヨーロッパに来ることにより、無線のやり取りにどのような違いがあるのか聞かれることがあります。
そんな方たちの疑問である、「ドイツでの航空無線」について解説‼
【海外でパイロット】現地語ができないとダメ?
航空無線は、基本的には全員英語で出来ないとダメなのは既にご存知かと思います。
但し、VFRでの航空無線や管制塔のない空港での無線では少し違う場面もチラホラ。
僕自身はVFRでのフライトはドイツ国内のみしか知りません。
ドイツでは、現地語ができたほうがイイが、英語でも基本的には大丈夫
と言えます。
ほかの国ではよく分かりませんが、フランスでは、フランスの航空会社に対しては普通にフランス語で無線交信をしていますし、スペインではスペイン語が飛び交っています。
スペインとは全く関係のない僕の乗る飛行機に向かってスペイン語で無線交信をしてくるときもあるので、これらの国ではVFRでも現地語で行われているのではないかと、想像ができます。
【海外でパイロット】タワーのある空港とタワーのない空港
アメリカでは、フライトスクールを探すときによく目にする言葉がありますね。
「タワーのある空港なので無線交信を学ぶことができ、エアラインも飛ぶので将来的にとても有意義な訓練が受けられる」
「タワーのない空港なので、無線交信に慌てることなく飛ぶことに集中できる」
など、それぞれ色々と書かれています。
どちらも正解。
アメリカでは、無数に空港があり、管制が行われていない空域も多いですし、管制官のいない空港が多数あります。
管制官のいない空港では、自分で自機の位置を無線で知らせて、ほかの飛行機がいたらお互い位置を知らせあいながら飛んだりします。
無線を聞いている人はいるかもしれませんが、飛んでいない人が地上から何かしら言ってくることはないのが基本。
【海外でパイロット】ドイツではタワーのない空港でも誰かしらいる
ドイツでは「タワーのある空港」「タワーのない空港」という区分は同じ感じですが、タワーのない空港であったとしても、誰もいないわけではありません。
必ず誰かがいて、空港の状況を伝えてくれます。但し、彼らは「管制官」ではありません。そのため、離陸や着陸の指示、回避のための指示は出しません。
それらの判断はすべてパイロットが行わないといけませんが、彼らは一体何をしているのでしょうか?
Info
タワーのある空港では「○○Tower」となりますが、タワーのない空港では「○○Info(インフォ)」という呼びかけを使います。
彼らは地方航空局に勤める職員のようで、パイロットの免許を所有している人もいれば、元管制官の人もいたりします。基本的には、管制のことを理解している人がなるポジションのため、交信はスムーズに行われます。
駐機場から滑走路へ飛行機を動かし始めたら、彼らにコンタクトをして、自分たちの位置、飛行機のタイプ、搭乗人数、目的地もしくはフライトの目的(訓練など)を伝えます。
Infoからは、使用滑走路、空港のコンディションが伝えられます。
IFRでフライトをするときには、既にファイルしてあるフライトプランが認証された場合、クリアランスが伝えられます。
ですが、タワーのない空港は基本的に管制官とコンタクトが行われるまではVFRを維持しないといけません。
VFRのフライトプランを提出して認証された場合には、離陸後にコンタクトを取る周波数が伝えられます。
タワーのない空港に着陸する場合には、大抵の場合、空港から5分程度離れたところで「○○Info」と言った後に、自機のポジション、飛行機のタイプ、搭乗人数、フルストップがタッチアンドゴーかを伝えます。
Infoからは、離陸時と同じように使用滑走路、空港のコンディションが伝えられます。
ほかに飛行機が飛んでいる場合には、何機が飛んでいて、何をしているのかなどが伝えられたりします。
その後は基本的には自分たちで目視でほかの飛行機との間隔を開けたりしながら着陸していきます。
ドイツの場合、トラフィックパターンがシッカリと決められている空港が多く、事前の確認が必要です。アパートが並んでいたりするようなところを避けるように飛ばないといけない場合が多く、知らないと後で大変な目に合うかもしれません。
【海外でパイロット】EnrouteとIFRは英語
VFRであったとしても、タワーのない空港の周波数からEnrouteを管制する管制官と交信をするときには、基本的には英語で行われます。
ドイツ語でこちら側から発信をした場合、ドイツ語での返答がありますが、英語で行われることがほとんどです。
IFRは基本的に英語です。タワーのない空港での離着陸時にはVFRで飛ばないといけないため、ドイツ語でInfoと交信をしたりします。
フランスなどのように、IFRであっても、旅客機であってもフランス語で交信をしているところもありますが、ドイツではIFRの飛行機は通常英語で行われています。
【海外でパイロット】アメリカとは違うドイツでの航空無線 まとめ
どの空港に行っても、基本的に誰かしらいることに最初はビックリしましたが、空港の情報を受け取れることを考えると、とても助かります。
ドイツに限って言えば、基本的にはタワーのない空港ではドイツ語が飛び交っています。ですが、ドイツ語ができないパイロットも当然ですが飛んでいるので、タワーのない空港へ行って、英語で無線交信をしたところで無視されることはありません。
Infoからは英語で返答がきますが、ほかのパイロットたちは継続してドイツ語で無線交信を行うことが通常です。自分のポジションを無線で伝えていれば、相手は避けてくれるはず。パイロットによっては、英語で無線交信が始まったら、英語に切り替えることもあります。
ほかの国のことは詳しくは分かりませんが、現地語ができることにより、タワーのない空港では状況を知ることができることは確実かと思います。
EASAの免許のみを取得して帰国する場合には、あまり現地語習得に意味はないかもしれませんが、今後、移住先で飛び続けることを考えると、現地語での無線が出来ると、とても便利になってくるのではないかと思います。
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