パイロットになるうえで絶対に避けては通れない「航空身体検査」
どのような項目を検査していて、どのような数値でないといけないのか?というのは最初、分かりません。
有料で航空身体検査についてレクチャーをしてくれるようなサイトも見受けられますが、どのようなアドバイスがあるのかは、僕にはわかりません。有益なのかも不明です。
今回は、EASAの航空身体検査で必ずある「血液検査」において、どのような項目を調べられて、規定数値はどのようになっているのかを公開していこうと思います。
実際にパイロットとして免許更新をしている僕の数値も同時に公開‼
FAAの免許取得の時に行った航空身体検査では、血液検査を行った記憶がありません。今もそうなのでしょうか?
日本では恐らく行っている?
ヨーロッパでパイロット免許を取得する場合に必要なEASAベースの航空身体検査では、血液検査は行われます。ドイツで航空身体検査を受けていますが、血液検査をしなかったことはありません。
検査項目は25項目‼
どのような項目があるのか見ていきましょう。
以下では、「検査項目」と「正常値」を書いていますが、「正常値」に入らなかったからと言って、「絶対にダメ」というわけではありません。
健康な人、全く問題のない人でも、この「正常値」に入らないこともあります。複数の検査項目から総合的に専門医が判断することになります。
- 白血球(Leukozyten(White Blood Cell))
- ヘモグロビン値(Hämoglobin(Hemoglobin))
- ヘマトクリット値(Hämatokrit(Hematocrit))
- 赤血球数(Erythrozyten(Red Blood Cell))
- 平均赤血球容積(MCV:Mean Corpuscular Volume)
- 平均赤血球色素量(MCH:Mean Corpuscular Hämoglobin(Hemoglobin))
- 平均赤血球色素濃度(MCHC:Mean Corpuscular Hämoglobin(Hemoglobin) Concentration)
- 血小板(Thrombozyten(Platelet))
- 好中球(Neutrophile Granulozyten(Neutrophil Granulocyte))
- リンパ球(Lymphozyten(Lymphocyte))
- 好酸球(Eosinophile(Eosinophil))
- 好塩基球(Basophile(Basophil))
- 単球(Monozyten(Monocyte))
- 赤血球沈降速度(Blutsenkungsgeschwindigkeit(Erythrocyte Sedimentation Rate))
- γ-GT(Gamma-GT(Gammna-Glutamyl Transferase)
- アスパラギン酸アミノ基転移酵素(GOT=ASAT/AST)
- アラニンアミノ基転移酵素(GPT=ALAT/ALT)
- クレアチニン(Kreatinin(Creatinine))
- グルコース(Glucose)
- 尿酸(Harnsäure(Uric acid))
- コレステロール(Cholesterin(Cholesterol))
- 善玉コレステロール(HDL-Cholesterin(HDL-Cholesterol))
- 悪玉コレステロール(LDL-Cholesterin(LDL-Cholesterol))
- LH比(atherogener Index LDL/HDL(atherogenic index))
- トリアシルグリセロール(Triglyceride(Triglyceride))
- 【海外でパイロット】航空身体検査 血液検査の項目公開 まとめ
白血球(Leukozyten(White Blood Cell))
4000/ul-10000/ul個程度が正常
flyjetは4100/ul個
ヘモグロビン値(Hämoglobin(Hemoglobin))
12g/dl~17.5g/dl程度が正常
flyjetは13.9g/dl
ヘマトクリット値(Hämatokrit(Hematocrit))
36%~53%程度が正常
flyjetは42.4%
赤血球数(Erythrozyten(Red Blood Cell))
4.1/pl~5.9/pl程度が正常
flyjetは4.5/pl
平均赤血球容積(MCV:Mean Corpuscular Volume)
80fl~96fl程度が正常
flyjetは95.3fl
平均赤血球色素量(MCH:Mean Corpuscular Hämoglobin(Hemoglobin))
28pg/Ery~33pg/Ery程度が正常
flyjetは31.2
平均赤血球色素濃度(MCHC:Mean Corpuscular Hämoglobin(Hemoglobin) Concentration)
32g/dl~36g/dl程度が正常
flyjetは32.8g/dl
MCV・MCH・MCHC
上記3つの値から、どのような種類の貧血であったり、炎症であるのかが分かってきます。
血小板(Thrombozyten(Platelet))
140/nl~360/nl程度が正常
flyjetは230/nl
好中球(Neutrophile Granulozyten(Neutrophil Granulocyte))
43%~75%程度が正常
flyjetは50%
リンパ球(Lymphozyten(Lymphocyte))
16%~45%程度が正常
flyjetは34.9%
好酸球(Eosinophile(Eosinophil))
0.4%~6.6%程度が正常
flyjetは4.4%
好塩基球(Basophile(Basophil))
0.3%1.5%程度が正常
flyjetは0.2%(少ないみたいです)
単球(Monozyten(Monocyte))
2%~12%程度が正常
flyjetは10.5%
赤血球沈降速度(Blutsenkungsgeschwindigkeit(Erythrocyte Sedimentation Rate))
20mm/h程度が正常
flyjetは2㎜/h
γ-GT(Gamma-GT(Gammna-Glutamyl Transferase)
女性は40U/l未満、男性は60U/l未満程度が正常
flyjetは12U/l
アスパラギン酸アミノ基転移酵素(GOT=ASAT/AST)
10U/l~50U/l程度が正常
flyjetは20U/l
アラニンアミノ基転移酵素(GPT=ALAT/ALT)
10U/l~50U/l程度が基準
flyjetは17U/l
クレアチニン(Kreatinin(Creatinine))
<1.20mg/dl程度が正常
flyjetは0.86㎎/dl
グルコース(Glucose)
55~100mg/dl程度が正常(食後1時間以上経過)
flyjetは64mg/dl
尿酸(Harnsäure(Uric acid))
2.4mg/dl~7.0mg/dl程度が正常
flyjetは6.0mg/dl
コレステロール(Cholesterin(Cholesterol))
年齢により200mg/dl未満程度が正常
flyjetは126mg/dl
善玉コレステロール(HDL-Cholesterin(HDL-Cholesterol))
年齢により40mg/dl以上程度が正常
flyjetは46mg/dl
悪玉コレステロール(LDL-Cholesterin(LDL-Cholesterol))
年齢により160mg/dl未満程度が正常
flyjetは74mg/dl
LH比(atherogener Index LDL/HDL(atherogenic index))
4未満程度が正常
flyjetは1.6
トリアシルグリセロール(Triglyceride(Triglyceride))
200mg/dl未満程度が正常
flyjetは48mg/dl
【海外でパイロット】航空身体検査 血液検査の項目公開 まとめ
上記はEASAの航空身体検査にて、血液検査の項目となります。
既に上記したように、「正常値の範囲に必ず入っている必要はない」です。
航空身体検査の専門医が、すべての情報を精査したうえで合否を判定します。正常の範囲内であったとしても、いくつかの項目のバランスが悪かったりする場合もありますし、どこか1つが正常の範囲に入っていないからと言って「絶対にダメ」というわけでもありません。
基本的には、正常の範囲内にすべての数値が入っていたほうがいいとは思いますが、大事なのは「全体のバランス」のように思います。
航空身体検査は「すぐに数値を変えることができない」と思っておくことが大事です。
日々の生活が検査をすると出てくることがあります。
体重が正常の範囲内だからと言って「血液検査で問題が見つからない」というわけでもありませんし、血圧が高い人もいたり、悪玉コレステロール値が高い人もいたりします。
普段の生活から、色々と気を付けておくことにより、安心して航空身体検査に臨めるのではないかと考えます。
有料のアドバイスなどは、ほとんど効果がないように思うので、航空身体検査をする専門医に問い合わせて相談することが一番だと思います。
可能であれば、まずは航空身体検査を受けてみることをおススメします。
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