海外でパイロットの道を目指している方の中には「コストを抑えたい」という理由も1つではないでしょうか。
日本での飛行訓練費用と外国での飛行訓練費用は比べると、外国のほうが安く表示されます。
実際に、日本で座学のみをしてアメリカで飛行訓練を行う大学や訓練校がありますね。
ヨーロッパで飛行訓練をする日本の学校は今のところ見当たりません。(もっと時間をかけて調べたら出てくるのかもしれませんが…)
やはり費用を考えると、東南アジアやアメリカなどには敵わないのかなぁ、と思います。
それでも、何らかの事情により、ヨーロッパでのパイロットライセンス取得を目指す方も現れるかと思われます。
僕自身がライセンス取得を考えた時、日本語でのヨーロッパでパイロットライセンスを取得する情報はゼロでした。
色々と調べるのに苦労したのを覚えています。
ヨーロッパでパイロットとして仕事をするためにはどのようなパイロットライセンスが必要になってくるのかを解説‼
【ヨーロッパでパイロットになる】パイロットとして必要最低限なライセンス
一口に「パイロットライセンス」と言っても、色々な種類のパイロット免許が存在します。
自家用操縦士(PPL)や計器飛行証明(IR)、事業用操縦士(CPL)、双発機(マルチエンジン)(ME)など、ほかにもさまざま存在しますが、今回は「将来パイロットとしてヨーロッパで働くために必要な免許」の取得を考えてみようと思います。
以下は「Fixed Wing(飛行機)」のパイロット免許です。ヘリコプターは含まれません。
細かく分けているフライトスクールがありますが、今回こちらで紹介するものは大雑把に分けて説明しています。詳しくはお近くのフライトスクールにお問い合わせください。
大抵の会社の応募要件には「ME CPL IR/ATPL Theory credit, MCC, Advanced UPRT(fATPL(A))」と記載されていることが現在(2021年)は多いです。
最低条件として、これらの免許やトレーニングは必要だと考えていいと思います。
これらの免許やトレーニングはどのようなものなのでしょうか。
【ヨーロッパでパイロットになる】MEP CPL IR(fATPL(A))
MEP=Multi Engine Piston
CPL=Commercial Pilot Licence
IR=Instrument Rating
fATPL=frozen Airline Transport Pilot Licence
(A)=Airplane ((H)という表記もあります。こちらはヘリコプターのHです)
ATPLは日本で言うところの「定期運送用操縦士」です。
パイロットとして働くためには、最低でもMEP CPL IRが必要となります。
(SEP=Single Engine Pistonは取得しているものとする)
大抵の場合は、将来的にATPLを取得することを考えて、ATPL免許取得に必要な座学を最初から受けることになります。
免許取得過程では、一番最初にPPL(自家用操縦士免許)を取得します。この過程で、1人で飛行機の操縦が出来るように訓練をしていきます。ソロフライトや、ソロでのクロスカントリーフライト(普段訓練している空港から別な空港に行き、帰ってくるようなフライト訓練)などをすることになります。
将来的に、どこかでパイロットとして働きつつ、趣味として一人で飛行機に乗って楽しむことができるようになります。
その後、CPL、ME、IRなどを取得していきます。
fATPLとは?
ヨーロッパでよく見かける「fATPL」という名称。一体何なのでしょうか。
始めは何もわからず、一体何を指しているの?状態でした。
fATPL=frozen Airline Transport Pilot Licence
「frozen」とは「凍結」というような意味ですね。
ATPL取得を目指して座学をし、ATPL取得に必要な筆記試験に合格、MEP CPL IR免許取得に必要な飛行時間を取得したけれども、ATPL取得に必要な飛行時間を満たしていないパイロット
免許には「fATPL(A)」と記載されていたり「ATPL Theory Credit」と記載されていたりします。
この記載がある、ということは、既にATPL取得に必要な座学は終えていることを証明しています。
ATPL取得に必要な飛行時間を満たし、航空局に必要な書類を提出すると「ATPL」が発行されます。
【ヨーロッパでパイロットになる】MPL
MPL=Multi Pilot Licence
2人以上で飛行機を操縦するための知識を学ぶことに特化したライセンスです。
そのため、自家用操縦士免許の取得はしません。
1人で操縦するためのスキルも学びますが、目的は「2人で飛行機を操縦する」ということにフォーカスを当てています。
ATPLと同じく座学を受けることになりますが、フライト過程では内容が異なってきます。
ライセンス取得後、エアラインなどで旅客機を操縦することにフォーカスしているため、2人で分担して飛行機を飛ばすことを念頭にトレーニングが組まれています。
フライトスクールにより、保有しているA320やB737シミュレータを使用して50時間以上の訓練をするようなプログラムが組まれていたりします。
全てのトレーニング終了後に、別料金で自家用操縦士免許を取得したり、1人で計器飛行ができるようになるための試験を受けて、別途計器飛行証明を取得することは可能です。
但し、将来的に絶対にエアラインなどに就職できる保証はありません。MPLを取得することに、少しリスクがあるような感じは受けます。(個人的な感想です)
いくつかの縛りのあるライセンスのため、免許取得後、色々な会社に応募をしたい場合には不向きなように思われます。(個人的な感想です)
このライセンスを保有することのメリットは、僕の中ではあまり見つけられませんでした。
僕の考えが間違っていることもあります。シッカリと調べて決定してください
【ヨーロッパでパイロットになる】MCC
MCC=Multi Crew Cordination
CPL IRを取得したパイロットで、パイロットとして働くことを考えている場合には、このトレーニングが必須となります。
このトレーニングは「飛行機を2人で操縦すること」にフォーカスしたトレーニング。
CPL IRの取得は、基本的には「1人で操縦」となっていますが、働くことになった場合、ほとんどの飛行機は1人操縦が許可されている飛行機でも、2人で操縦することになります。
特にヨーロッパでは安全上、旅客や貨物を飛行機を使用して運搬事業を行う会社は、2人乗りを義務付けているところがほとんどです。
2人で操縦するためには、役割分担をしないといけません。
「1人で操縦」のときには、当然ですが、すべてを1人で行っていました。
MCCトレーニングでは、今まで1人で行ってきたことを「2人でどのように操縦するか」を学びます。
座学の後にシミュレータで2人で役割分担をしいながらフライトを行っていきます。
PF=Pilot Flying(飛行機の操縦をする人)
PNF=Pilot Non Flying(操縦以外の仕事をする人、PFのモニターをする人)
に分かれて、それぞれどのような役割をしていくのかを学んでいきます。
最初は戸惑いました。今までは一人で色々とやっていましたが、場面場面によってお互いの役割を把握することによって、作業を分担でき、スムーズに飛行を行うことができるようになっていきます。
航空会社に就職をし、パイロットとして働き始める前にこのトレーニングを行うことによって、スムーズにタイプレーティングの訓練をスタートできるようになります。
MPLの訓練には、この要素が初期段階から組み込まれている、ということをインストラクターから聞いたことがあります。(MPL訓練は行ったことがないので、気になる方はお近くのフライトスクールにお問い合わせください)
【ヨーロッパでパイロットになる】Advanced UPRT
2019年より新たに導入されたトレーニングです。
U=Upset
P=Prevention
R=Recovery
T=Training
以前はスピン訓練などがなかったのですが、事故を調査していくと、スピンからの回復や飛行機の体制が普段とは違う状況になった場面でのリカバリーが正しく行われないために事故になったケースが多いようで、そのような事故を今後減らしていくためのトレーニングとなります。
今後、フライトスクールに通い始めて、ライセンス取得を目指す方は、このトレーニングは既にプログラムに含まれているため、必要ありません。
僕のように、このトレーニングが義務化される前にライセンスを取得した人たちは状況により必要となってきます。
以前は「Long Range」のトレーニングがATPL過程には含まれておらず、別訓練をしていましたが、僕が訓練開始時にはATPL過程に含まれていました。
数年ごとに状況が変わってくるので、パイロット免許取得の勉強を本格的に始める段階でフライトスクールに問い合わせてください。
【ヨーロッパでパイロットになる】義務ではないトレーニング
必ず必要ではないトレーニングも、フライトスクールによってはおススメされます。
必ず必要でないトレーニングは、ご自身で考えた上で受けるかどうかを決めてください
JOC
JOC=Jet Orientation Course
フライトトレーニングは、最初から最後までプロペラ機で行われます。
ですが、就職先ではジェット機に乗ることが予想されますし、このブログに訪問していただいている方の中には、ジェット機の操縦を目指している方がいると思われます。
就職活動ではシミュレータでの試験もあったりします。
よく使われる機種はB737です。
ジェット機に乗ったことがない状態で、B737のシミュレータを使用しての試験は色々と戸惑うことがあると思います。
スピードが速いですし、上昇速度、アプローチ速度など違いは多数。
そのような戸惑いを最小限にするために、「ジェット機に少し慣れておこう」というのが「JOC」です。
但し、これは義務化されたトレーニングではありません
応募する会社によっては「JOC」トレーニング修了を応募要項に書いてあるところもチラホラありますが、大抵の会社は義務付けていません。
僕自身は、このトレーニングは受けていませんが、ジェット機を運航する会社に就職できました。
「やったほうがいい」と思われたら、トレーニングを受けてもいいと思います。
【海外でパイロット】ヨーロッパでパイロットになるための必要なライセンスは? まとめ
就職活動を始めるにあたって、必要最低限のライセンスは「ME CPL IR/ATPL Theory Credit, MCC, Advanced UPRT(fATPL(A))」
このブログに辿り着いた方は、エアラインを目指す方がほぼ全員だと思います。
ATPLの座学は必須となっているので、fATPLを目指して勉強していくことになるでしょう。
訓練開始前に自分なりに色々と調べて、最適な道で「fATPL」取得を目指してください‼
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